展示会当日において、ブースはとても重要です。そして、その重要なブースの中でも、特に肝心な箇所があります。
さぁ、突然ですが問題です!
目次
○○には何が入るでしょうか?
あなたも少し考えてみてください。
○○には、『上部』が入ります。
『来場者の目線はブースの上部に行く』
そうです。
ブースの上部がとても重要なのです。
展示会の来場者は、ブースの上部を見て歩いています。来場者は、展示会場を歩き回りながら、さまざまなブースを、「何のブースなのかな?」と無意識に推測しながら歩いているのです。
少し考えてみてください。
もしも、ブース上部(この部分をパラペットと言います)が「株式会社〇〇産業」のように会社名になっていたらどうでしょう?
あなたの会社がテレビCMをやっているような大手企業なら、会社名を聞いただけで何のサービスを行っているブースなのか、ある程度想像がつくかもしれませんね。
でも、多くの中小企業は、会社名だけでは、何のブースなのか、そのブースで何を得られるのか、さっぱりわかりません。つまり、来場者がまず初めに見るブース上部のパラペットに社名を入れるのはもったいないということです。
では、どうすればよいのでしょうか?
結論から言います。ブース上部のパラペットには、「売り文句」を掲載するべきです。この売り文句をわたしは、ブースキャッチコピーと呼んでいます。このブースキャッチコピーが超重要なのです。
なぜ、ブースキャッチコピーがそんなに大切なのでしょうか?
それは、来場者が、あなたのブースに立ち寄るかどうかを決定づけるのは、他ならぬこの『ブースキャッチコピー』だからです。
来場者は、広い展示会場を歩き周りながら、無意識にブースの上部を見ています。そして、なんと・・わずか3秒でそのブースが自分の役に立つかどうかを判断するのです。たった3秒です。あなたは、たった3秒で来場者の心を捉えなければならないのです。
たった3秒で来場者に、
「おっ!これは役に立ちそうだぞ!」
と思わせること。これが、ブースキャッチコピーの役割です。来場者を素通り通りさせないためには、3秒で、ぱっと伝わるブースキャッチコピーが必要不可欠なのです。
あなたの会社の商品・サービスの価値を短い言葉で端的にあらわしてみましょう。どのようになるでしょうか?
ここでのポイントは、「短い言葉」というところです。長い文章でダラダラ書くのは簡単です。しかし、長い文章では来場者に読んでもらえません。颯爽とスルーされてしまうことになります。
短い言葉に価値を凝縮すること。この発想で、ブース上部のキャッチコピーをつくり込むことが何より重要なのです。
多くの企業は、ブース上部を社名にしていますから、もし、あなたの会社が、短い言葉で来場者の心に刺さるブースキャッチコピーを掲げることがでれば、それだけで大きなアドバンテージになるのです。
では、来場者の心に刺さるブースキャッチコピーとはどのようなものなのでしょうか?ブースキャッチコピーをどのようにしてつくり込めばよいのでしょうか?
ブースキャッチコピーつくりには、3つのポイントがあります。
順番に見ていきましょう。
まず、デパート形式ではなく専門店形式になっているかどうかがとても重要です。
これは、ブースキャッチコピーだけでなく、出展コンセプト全体にかかわりますが、
「わが社はいろいろ取り揃えています。」
とすべての商品をブースに並べるコンビニ型陳列では、残念ながら、来場者の気にもとめてもらえません。
「いろいろある」
は、何もないのと同じなのです。「いろいろあります」というのがデパート型であり、ピンポイントで絞り込まれた内容を提供するのが専門店型です。
「せっかくコストをかけて出展するのだから、わが社の商品をすべて、お見せしたい!!」
はい。気持はわかります。
でも、それでは、まったく特徴のないブースになってしまいます。
そうなっては、来場者の目を引き、3秒の壁を超えるキャッチコピーは絶対につくれません。
くれぐれも
『ワンブース==ワンアイテム=ワンターゲット』
を肝に銘じてください。
繰り返しになりますが、もしどうしても、2つの商品を訴求したいなら、ブースを2つ出す、というくらいこの専門店型を徹底してくださいね。
次に、メリットがすぐにわかるかという点は、そのブースキャッチコピーがメリット表現になっているかどうかをチェックしてください。あなたの会社の商品・サービスが提供できるメリットが、一目見ただけで、ぱっと分かる表現になっていることが重要なのです。
このようにメリット表現にするということを考えてみてください。
最後に、定量的に効果が見えるか、という点についてです。
定量的とは、数字のことです。具体的な数字を表現してあげることにより、来場者は具体的にメリットを理解できるようになります。
ただし、ここで注意事項があります。定量的に表せないものを定量的に無理やり表現することは避けるようにしてください。
たとえば、
「快適さNO.1の業務用加湿器です」
と表現しても、何をもって定量的に表現しているのか分からないですよね。
それに、ライバル会社が「うちの方が快適だ!NO.1だ!」と言ったら、反論できません。そのことに注意しながら、あなたの会社の商品・サービスをできるだけ具体的な数字で表現してみてください。
以上が、ブースキャッチコピーづくり3つのポイントです。
では、ここで、この3つのポイントでブースキャッチコピーをつくる練習をしてみましょう。
例題です。
あなたは、「組織を活性化させる効果がある人事制度構築」を展示会のブースで訴求したいとします。
その時のブースキャッチコピーが、
「ワクワクする組織活性化の仕組み」
というものだったとしたらどうでしょうか?
まぁ分からないでもないですが、これでは、ぱっと見ても心が揺さぶられることはないですね。
では、このキャッチコピーをどのようにすればよいでしょうか?
ブースキャッチコピーづくり3つのポイントを活用してみましょう。
たとえば、このようにするとどうでしょうか?
「累計100社超への導入の実績!離職率を13%減にする、
従業員50名未満の企業経営者のための仕組み」
いかがでしょうか。少なくとも、最初のキャッチコピーよりも興味を惹かれるのではないでしょうか?
ブースキャッチコピーづくり3つのポイントに照らして考えてみましょう。
→「企業規模(従業員50名未満)」と「属性(企業経営者)」という軸で専門化している
→離職率を減少させる
→100社実績、13%減
ブースキャッチコピーづくり3つのポイントの活用の仕方をわかっていただいたと思います。
なお、ブースキャッチコピーには完璧というのはありえません。常に練って改善を考え、毎回、出展ごとによりよいブースキャッチコピーをつくり出していく必要があります。あなたも、その点を忘れずに、ブースキャッチコピーを磨きあげていってくださいね。
あなたは、展示会に来場者として行ったことがありますか?
行ったことがある方も多いと思います。
来場者として展示会場をまわっているとあることに気づきませんか?
それは、
『入りやすいブースと、入りにくいブースがある』
ということです。
では、どのようなブースが入りやすくて、どのようなブースは入りにくいのでしょうか?
これは、人間の心理と深く関わっています。知っておくことでブースでの人員配置にとても役に立ちます。
たとえば、ブースの前に社員一同ズラっと横一列に並んでいたらどうでしょうか?
あなたが、そのブースの前を通る来場者になった場合、どう感じますか?
想像してみてください。
「近寄りたくない」
「ブースに入りづらい」
と感じるはずです。
なぜ、そのように感じるのでしょうか?
それは、人は、本能的に
『売り込まれることが嫌い』
だからです。
社員が一列に並んでいたら、いかにも営業する気満々、売り込む気満々に見えます。これでは、ブースの中に非常に入りづらいですね。
「近くを通ったら、しつこく話しかけられるのではないか?」
と感じてしまいます。
すると・・・
・目線を反対側のブースに向ける
・ブースから距離を取って通り過ぎる
・早足で通り過ぎる
など、来場者はそのブースを避ける行動を取ります。あ~。非常にもったいないです。
では、どうすればよいのでしょうか?
そこで大切になるのが、
「入りやすいブースをつくる」
ことです。
ブースの前にズラっと並んで立つ人員配置を行うと、入りづらさが格段に増すというのは、今お伝えしたとおりです。
ということは・・・
それと逆をやればよいのです。
通りから歩いてきてブースの中が見えるように人を配置し、開放的なイメージを与えることが大切です。ブースの中に入れるようにブースの入り口をできるだけ広く取りましょう。
さらに、もしも、ブースの中にひとりもお客がいない場合は、スタッフメンバーのうちのひとりを、ブース内で待機させましょう。
この時のポイントは、待機する人はスーツ姿になることです。もし、展示会専用のユニフォームなどを着ていたらスーツ姿に戻ってもらいましょう。
なぜ、スーツ姿で待機させるのか?
ブースの中にスーツを着た人がいると、来場者はその人が出展社のスタッフなのか、来場者なのか判断がつかないからです。
さらに、ブースの中で来場者のようにふるまってもらいます。ブース内をウロウロしたり、壁の実績や棚の上の資料を見たりしながら待機してもらいます。ユニフォームを着ている社員とブースの中で話をするのもいいでしょう。すると、来場者にはブースの中に他の来場者がいるように見えます。 他の人がいるということだけで、一気にブースに入りやすくなるのです。人は人気(ひとけ)があるところに興味を持つのです。
それと、もうひとつ重要なことがあります。
それは、ブースで対応するスタッフは常に元気よく快活に振る舞うということです。
そのためには、休憩をローテーション化しましょう。
展示会は多くの場合、10時から始まり18時に終わります。その間8時間ずっと立ちっぱなしでいると足への負担がドンドン蓄積されて、立っていられなくなるほど、足の裏が痛くなります。あなたも経験があるかもしれません。
そうなると、元気よくさわやかに来場者にアプローチすることができなくなってしまいます。そうならないように休憩をローテーション化するのです。休憩ローテーションのイメージはこうです。
10時から18時の展示会の場合、11時頃から30分ごとに休憩ローテーションを回します。まず昼休憩として、1~2人が休憩を取ります。展示会ごとに、来場者数がピークになる時間帯がありますのでその時間帯を把握しておきます。
(ピークは、多くの場合、14時から16時の間ですが、有名経営者の講演のようなイベントがある場合、そのイベントの終了後が一番、人が多くなります。)
なるべく、ピーク時には、全員で対応できるように昼休憩を済ませておきます。
昼休憩が終わったら18時まで休憩なし。今度は時間を短くして、15~30分の休憩ローテーションを回します。午後は、疲労が蓄積してきますが、このミニ休憩を取るだけでも疲労回復につながります。このように、しっかりと休憩する時間と順番を決めて休むことで疲労軽減につながり、来場者対応の質の低下やスタッフのモチベーション低下を防止することができます。
ポイントは、休憩ローテーションをルール化してしまうことです。
「空いた時間に適当に休憩を取る」
とすると、時間がなかったり、休憩を頻繁に取る人、全く取らない人などが出てくる可能性があります。ルールとして
「全員まんべんなく必ず休憩する」
ということが大事です。
展示会で人員配置やシフト管理をする方は、スタッフ一人ひとりが、きちんと休憩を取っているかを把握しておきましょう。
展示会でのブース対応は実は重労働です。女性社員の方はヒールではなくスニーカーを履くことを強くお奨めします。
まとめておきます。つい立ち寄ってしまうブースはこのようにつくりましょう。
あなたの会社もブースに人が入りやすくなるようにこの3点に気をつけて当日のオペレーションをしてくださいね。